ディープラーニングG検定

【イメージを使って解説】強いとAIと弱いAIを分かりやすく解説

今回は強いAIと弱いAIを取り上げてみます。

AIが強い・弱いと言われてもあまりピンと来ないという方もいらっしゃると思いますが、定義としては次のとおりです。

強いAIと弱いAI
  • 強いAI・・・人間のような意識や心を持っているAI
  • 弱いAI・・・特定のタスクをこなす道具であるAI

弱いAIはともかく、強いAIというのはなかなか想像しがたいのではないでしょうか?

また、AIが人間のような意識や心を持っているかはどうやって判断するの?と思う方もいるでしょう。

そんな疑問に答えるべく、強いAIを取り巻く状況やその判定方法についても、しっかりまとめてみようと思います。

強いAIを実現することは可能なのか?

強いAI・弱いAIという概念は1980年にアメリカの哲学者であるジョン・サールが論文の中で提唱しました。

近年はAIを活用した技術の研究が非常に盛んに行われていますが、現在我々の身の回りにあるのは全て弱いAIです。例えば、2016年に囲碁の世界チャンピオンを破ったAlphaGoは囲碁の世界では人間を超えていますが、人間のように思考をして様々なタスクをこなすことはできません。あくまで囲碁というタスクに特化したAIなのです。人間のように、囲碁を打つことができ、画像の判別も可能で、車の運転もできるようなAIはまだ存在しないのです。

仮に強いAIが実現できれば、上記の定義で述べたように、それは人間と同等に感じ、考えることができる存在です。分かりやすい例で言えば、ドラえもんみたいなものでしょう。言い換えれば、人間の感情や思考の理論が解明され、プログラムによって再現できているということです。

今の我々の感覚からすると、ほぼ不可能というのが率直な感想ですね。実際に提唱者であるジョン・サール自身も強いAIは実現不可能であると主張しています。

また、この強いAIという概念は人工知能の開発という枠を飛び越えて、人間の思考や感情とはそもそも何であるのかといった根源的な疑問を想起させます。そのため、異分野の専門家も巻き込んで議論が行われています。例えば、数学者のロジャー・ペンローズは「人間の思考は脳内の微細な管で生じる量子効果(ミクロな世界の物理現象)であるため、既存のコンピュータでは実現不可能」と主張しています。

ただし、一方で、世界では40を超える団体が強いAIの開発に取り組んでいるという事実もあります(2017年時点)。

強いAIを巡る状況はまだ混沌としており、今後も注目していきたい領域です。

AIの知能はどうやってテストする?

仮に「人間のような知能を持つAIを作った」と誰かが主張した場合に、それはどうやって確かめたらよいでしょうか?

そのために、イギリスの数学者アラン・チューリングが提唱したチューリングテストがあります。テストの内容は次の通りです。

内容は至ってシンプルですが、人工知能分野において知能の判定基準として参照されており、1991年以降チューリングテスト合格を目指すローブナーコンテストが毎年開催されています。

ちなみに、(懐疑的な反応が多いですが)2014年にウクライナ在住の13歳の少年という設定のEugene Goostmanというコンピュータがチューリングテストに合格したという報告もあります。

チューリングテストに疑問を呈した思考実験

チューリングテストは人工知能分野で一定の支持を得ているテストですが、懐疑的な考え方も存在します。

その有名な思考実験がジョン・サールによる中国語の部屋と呼ばれるものです。思考実験というのは頭の中の考えのみで行なう実験のことです。

今ここに、中国語を話すAさんと英語しか分からないBさんがいたとしましょう。Bさんは部屋に閉じこもり、Aさんは部屋のドアの隙間から中国で書かれた質問をBさんに渡します。Bさんは全く中国語を理解できませんが、部屋の中には中国語と英語をうまく翻訳するためのマニュアルがあるとします。すると、Bさんは中国が分からなくても、そのマニュアルを活用して、中国語で返事を出すことができます。そのような対話を続けていくと、Aさんは「Bさんは中国語を理解している」と思い込むことでしょう。

これが中国語の部屋という思考実験の中身です。何が言いたいのでしょうか?

この実験が伝えたいことは、「対話が成立していること」と「対話を理解していること」は全く別物だということです。なぜなら、Bさんは一切中国語を理解できないにも拘わらず、中国語の対話が成立してしまっているからです。

この思考実験をとおして、ジョン・サールは「チューリングテストに合格したからといって、AIが人間のように思考し、理解していることにはならない(強いAIとは言えない)」と伝えたかったのです。

最後に

今回は強いAIと弱いAIの違い、及びその評価方法について説明してみました。

近年のスマホやAIスピーカーとの対話能力の進歩を考えると、いずれチューリングテストに本当に合格するようなコンピュータが現われそうで、ワクワクしますね!!

最後になりますが、より詳しくAIを学んでみたいという方は、AIの基礎からAI搭載WEBアプリ開発まで学べるキカガク長期コースも活用してみてください!

ABOUT ME
keikesu
電気機メーカーのエンジニア、オフィス・工場向けIOTシステムエンジニアを経て、現在は大手のコンサルティングファームに在籍し、様々な組織のDXを支援するITコンサルタントをしています。 JDLA G検定・E資格を取得しているので、このブログではディープラーニング(主に資格試験関連)の基礎的な内容を投稿しています。