ディープラーニングG検定

【具体例もご紹介】意味ネットワークの概要をわかりやすく解説

今回は意味ネットワークを取り上げてみたいと思います。

意味ネットワーク

概念(意味のある単語)同士を関係性を示す線で結び、ネットワークとして構造化したもの

意味ネットワークはもともと認知心理学において人間の記憶の構造を明らかにするために研究されていたものですが、今では人工知能の分野でも活用されています。

初めて意味ネットワークを学ぶ方にとっては、おそらくこの定義だけを見てもどんなものなのか想像し難いと思うので、具体例も載せながら丁寧に解説していきたいと思います。

意味ネットワークとは?

意味ネットワークの具体的な中身を説明する前に、なぜそのようなものが人工知能の分野で重要視されているのかの背景を述べておきたいと思います。

第二次AIブームの火付け役となったエキスパートシステムという概念ではコンピュータに人間が持知識を植えつけることを目的としていました。そうすることで人間のような思考ができると考えられたからです。ただ、それは言うは易しですが、実際には非常に難易度の高い試みです。

※エキスパートシステムの難点については↓もご覧ください。

エキスパートシステムの困難の1つに「いかにして人間の知識を人工知能に伝えるか?」というものがあります。人間同士であれば何となくコミュニケーションを取りながら知識を伝達していくことは可能ですが、相手が機械となると、知識を体系的に曖昧さなく表現して渡してあげる必要があります。

この知識の体系的な表現に利用されるのが意味ネットワークです。冒頭でも述べたように、もともとは人間の記憶の構造を明らかにするために研究されていたものですが、今では言葉同士の関連性を表現するためのネットワークとして知識表現に利用されています。

では、ここから意味ネットワークの中身を見ていきましょう。具体的に意味ネットワークとは以下のようなものを指します。

意味ネットワークの例

各単語はノードと呼ばれ、ノード同士が矢印(リンク)で結びつけられています。全てのリンクに必ずラベルが付与され、ラベルがノード間の関係性を表します。

特に重要なのはis-aの関係で、継承関係と言われます。「ビジネスホテルはホテルである」「旅館は宿泊施設である」のように「AはBである」という関係性を表します。下位概念から上位概念に向けて矢印が引かれており、(特に指定が無ければ)下位概念は上位概念の属性を全て継承します。

もう1つの重要な関係がpart-ofです。「受付はホテルの一部である」のように属性を説明します。

このように、人間にも直感的に分かりやすい形で知識の関係性を体系的にまとめられるのが意味ネットワークの利点です。

意味ネットワークの課題

意味ネットワークは確かに言葉の関連性を示すのに便利ではありますが、同時に課題も潜んでいます。ここではその課題を簡単に説明したいと思います。

先ほど述べた継承関係では推移律が成り立ちます。推移律とは「AはBである」「BはCである」という関係が存在すれば、「AはCである」という関係も正しいということです。「ビズネスホテルはホテルである」「ホテルは宿泊施設である」という関係があるので、当然ながら「ビジネスホテルは宿泊施設である」という関係も正しいわけです。

この推移律はpart-ofでは成立するでしょうか?

例えば、「部屋はホテルの一部である」「ベッドは部屋の一部である」から「ベッドはホテルの一部である」というのは特に違和感がないですね。成り立ちそうです。一方で、「ライオンは動物園の一部である」「ツメはライオンの一部である」から「ツメは動物園の一部である」というのは、少しおかしいように思います。

実はpart-ofにおいては推移律が成立する場合としない場合があります。

これは人間にとっては大した問題ではありませんが、曖昧さのない体系的な知識を必要とする機械にとっては大問題です。

par-ofについてはより細かな関係性の分類が考えられていますが、まだ意味ネットワーク上で適切に表現することができておらず、障壁となっています。

最後に

今回は意味ネットワークを具体例を交えつつ解説してみました。

この記事を読んで内容が理解できた方は、(そんなに手間はかからないので)是非1度自分で意味ネットワークを書いてみるとより理解が深まるかと思います!!

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ABOUT ME
keikesu
電気機メーカーのエンジニア、オフィス・工場向けIOTシステムエンジニアを経て、現在は大手のコンサルティングファームに在籍し、様々な組織のDXを支援するITコンサルタントをしています。 JDLA G検定・E資格を取得しているので、このブログではディープラーニング(主に資格試験関連)の基礎的な内容を投稿しています。