今回はAI効果の意味について解説をしてみたいと思います。
AI効果とは知的な作業が機械によって当たり前に実現できるようになると「それはもはや知的な作業ではなく、単なる計算に過ぎない」と考えてしまう人間心理を意味します。
定義だけであれば以上で終わりですが、初めて見る方は少しもやっと感じてしまうと思うので、イメージを掴んでいただけるように分かりやすく解説したいと思います。
機械は知的作業を行なうことができるのか?
みなさんは、人間が行なっている知的な作業と聞くと、どんなイメージを持つでしょうか?
私は「マニュアル化することが難しく、臨機応変に思考を巡らせて行なう作業」というように捉えています。
分かりやすいように「翻訳作業」を例に取ってみましょう。翻訳が単語を置き換えるだけの作業であればマニュアル化ができそうですが、実際には文章のテーマ・前後の文脈・文法などを総合的に考慮して行なう必要があるため、人間が頭を使って行なう作業です。
このように考えると、「翻訳は機械的な作業ではなく知的な作業」と言って差し支えないでしょう。
しかし、一方で近年はGoogle翻訳などの自動翻訳アプリが目覚ましい勢いで発展しています。今はまだ人間のレベルまで到達していませんが、このペースで発展を続けていけば、いずれ人間に追いつくのは想像に難くないでしょう。
もし、数年後または十数年後に自動翻訳アプリが人間並みの翻訳精度を獲得したら、「機械は人間のように知的作業を行なっている」と考えてよいのでしょうか?
機械が行なうと知的作業ではなくなる
現代の我々にとっては、人間並みの翻訳を行なうアプリは、まさに知的な作業を行なっており、典型的な人工知能であると感じるでしょう。
問題はこの感覚が永遠に続くのかということです。
例えば、人間並みの翻訳アプリが完全に普及して翻訳・通訳という職業が完全に消滅した未来のことを想像してみましょう。その時代の人たちに「翻訳は知的な作業ですか?」という質問をしたら、きっと次のような答えが返ってくるのではないでしょうか?
「翻訳は機械が行なうものだから知的な作業だとは思わない」
人間並みの機械翻訳が当たり前の世界を生きる人であれば、このような感覚になるのも頷けますよね。そして、おそらくこの世界では翻訳をやっている機械を見て「人工知能だ!!AIだ!!」と騒ぎ立てる人もいないことでしょう。
ここでは少し極端な例をあげましたが、これがまさにAI効果の本質です。
知的な作業だと思っていたものを機械がやり始めると、手のひらを返したように「それは単なる計算だ」と思うようになるのが人間の心理です。そして、始めのうちは「人工知能の為せる技」と考えていても、時間が経つと「人工知能でも何でもない」と思うようになります。
このAI効果があることで、人々が人工知能に対して抱くイメージは時代と共に変化をしていきます。
こういった背景もあるため、人工知能を定義することは非常に難しいですし、人工知能のレベル分けが必要になってくるのでしょう。
最後に
今回はAI効果について具体例に言及しながら解説してみました。
きっとみなさんの周囲にも、一昔前は「すごい!画期的だ!AIだ!」と思っていたけど、今では当たり前過ぎてすごいと思わないと言ったようなツールやアプリがあるのではないでしょうか?
そういったものを見つけた際にはぜひ今回学んだAI効果を思い出してみてください!!
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